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HDDの死期が近い

HDDが故障しかけている

つい先ほど、自宅にある母艦機(Windows)1が突然異様に重くなりまして、確認するとデータドライブへのアクセス待ちで時間を食っているようでした。 しかし、タスクマネージャーから確認すると、アクセス時間は100%でも実際に転送されているデータは全くありません。むむ、これはおかしいぞと久々にCrystalDiskInfoで確認してみると……。

壊れかけのHDD

壊れかけのHDD

アア……とうとう来たか……!

というわけで、間もなく臨終、大往生のようです。幸い重要なファイルのバックアップは取ってあるのでデータ的ダメージはさほどないのですが2、あると便利だけど無くても困らないビミョーなデータの扱いに困ります。というのも、この壊れかけのディスク、やたら時間をかければ読み出せないこともないっぽいのです。 いっそ読み出し不可になれば「しょうがないわナ」で済むところ、中途半端に読めてしまうのでいまいち諦めがつかず。結局、いくつかのビミョーデータを別のディスクへコピーすることにしました。300KB/sくらいの速度しか出ていませんが3、まあ仕方ないか……。

この結果はどうあれ、明日はHDDを買いに走ることになりそうです。出費が嵩むなあ。


  1. ゲームとか映像関係とか扱いたいときはどうしてもWindowsの方が便利だったりします……。開発面に関しては圧倒的にLinuxの方が使いやすいのですが。 ↩︎

  2. クラウド or GitHub/GitLab or 別のディスクへコピー済。多重バックアップは大事。 ↩︎

  3. もちろん、時折止まります。 ↩︎

HugoでMarkdownのテーブルに属性を付与する

HugoでMarkdownのテーブルに属性を付加する

Hugo、便利ですよね。当ブログはHugoを使って作成していますし、私が管理しているいくつかのサイトでも積極的にHugoを採用しています。 少なくとも管理者が一人である限り、HugoのようなStatic Site Generatorはメチャクチャ強力だと思っています1

さて、そんなHugoですが、0.60.0からCommonMarkに準拠したgoldmarkと呼ばれるMarkdownパーサー2をデフォルトで使うようになりました。 その結果、いくつかの機能が非推奨になったり変更が加えられたりしています。その影響を受けるものの一つがMarkdownのテーブルです。

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GitLab.comのBronzeメンバーになった

GitLab.comのBronzeメンバーになりました

ちょっとしたご報告です。

つい先日、GitLab.comのBronzeメンバーになりました。 以前からGitLabはプライベートグループや自前インスタンス等でお世話になっていて、正直GitHubよりも好きです。プロプラの塊たるGitHubと違い、コア部分は自由ソフトウェアだし。そんなわけで、これからも頑張ってほしいという思いを込めてGitLab.comの有償プランをポチッとした次第です。

GitLabのBillingページでの表示

GitLabのBillingページでの表示

といっても所詮Bronzeプランなので偉くなったとかそんなこともなく、Freeプランと比較してできることが格段に増えたというわけでもない(これはそれだけFreeも大切にされているという意味での褒め言葉です)のですが、生活が困窮しない限りは続けていく所存です。上位のSilverグレードはやや魅力的だけれど、個人向けではなさそう1……。

そんなどうでもいいご報告でした。ちなみにGitHubも引き続き使います2


  1. プライベートなnpmレジストリが持てたり、地味に便利そうな機能があるっぽいけれど、Silverプランは個人よりもグループ向けな気がしている(料金設定からしてGitHubのTeam Planへの対抗だろうし)ので、個人プランとしての旨味があるかと言われると正直微妙。私としては、GitLabが(Silverプランはプロプラになるにせよ)自由ソフトウェアとしての部分を大切にする限り、その哲学に対してお金を払おうかなと思っている。それでも、今後社会人になったときに「GitHubよりGitLabの方がいいっすよ」と言いづらい微妙な価格設定なのが惜しい : GitHub, GitLabSalesに連絡したら団体割引とかあるんだろうか。
    18日追記: Sales ページに “We don’t currently offer any discounts for the Enterprise subscriptions.” とあるので無さそう。うーん。 ↩︎

  2. コミュニティサイズは大きいし、Microsoft傘下に入ってからサービス内容も拡充された感があるので。それでも独占に対しては抵抗したい。 ↩︎

オープンソースという言葉の乱用についての不安

最近、特にオープンソースという言葉の乱用についてよく考えます。理由は単純で、その結果もたらされるFLOSSの未来が不安だから。

少し長いうえ、序盤から後半にかけての流れが冗長かもしれません。駄文かもしれませんが、自分の考えを整理するのも含め、一度自分の抱えている不安について書いてみます。


自由ソフトウェアの偉大さ

私は自由ソフトウェアの思想が好きです。私が物心ついた時には、用途問わず自由に利用できるライブラリやフレームワーク、ソフトウェアが既に多数ありました。さらに、プロプライエタリに匹敵、あるいは凌駕する偉大な自由ソフトウェアの数々を見てきました1。GNUのウェブサイトを読んで、素晴らしい思想だとも思いました2
GPLを好んで使うかはともかくとして、少なくとも、誰であっても差別なく自由に再配布、改造、組み込み、利用できるソフトウェアというのは、本当に価値があることです。そういった自由のあるものにこそ、人は協力するのが良いと考えています3

人がわざわざ車輪の再開発をする必要は(独占を防ぐ等の一部程度で)ほぼありません4。もし自由ソフトウェアがなければ、各々は自分たちで全て手作りする必要があったでしょう。あるいは、高額な金を払って何らかのライブラリやフレームワークを買うかです(かつてはコンパイラすら高額だったように)。結果として、実質的に開発できるのは膨大な資本力と体力がある一部の企業に限られ、それ以外の中小は末端の仕事しかできなくなります。そうなると、自由に誰もが参入して発展させられる場所はないでしょう。進歩の速度は低下し、ITの導入は高額になり、多くの人の興味を削ぐ。プログラミングをするのに鉱山を削ったり物資を調達する必要はほぼないにも関わらず、です。

自由ソフトウェアの概念が発達したおかげで、人々は多くのソースコードを大手を振って共有することができるようになりました。そして現在のように、誰もが気軽に高品質なソフトウェアを書ける世界ができたわけです。何より、自由ソフトウェアはその開発者が開発を止めてしまったとしても別の誰かによって開発を継続させられます。これは(A)GPLが目指した理想の一つです。プロプライエタリは作者の死後70年まで誰もメンテナンスできないのと対象的ですね。
その他にも自由ソフトウェアの利点は挙げられますが、とにかく、様々な利点を我々は享受しています。

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あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます。

新年ですね。あけましておめでとうございます。

……さて、お正月、終わってしまいましたね。 今日から平日ということで、皆様仕事や学業に戻られていることかと存じます。私もこの原稿を研究室で書いています。お正月に入る前は正月なんか暇なだけだしコード書いていた方がマシとすら思っていたものですが1、いざ終わってみるともうちょっとだけ暇になりたい……と思ってしまうのは怠惰の証ですね。よくない。私は走り出したら止まってはいけないタイプの人間のようです。


元旦は暇な自分が許せなくて、三島由紀夫の『金閣寺』を読んでいました。良い作品でした。私も金閣寺を焼きたくなった……のですが、三島由紀夫のその後を考えれば、焼いたところで世界は変わらないのでしょうね。残念なことですが。 でもって、もう一冊くらい積んである本を読みたかったのですが、なんだかんだ予定が入ってしまい読めず。春までにはもうちょっと読みたいところ。次はSFがいいかしら。『なめらかな世界と、その敵』2とか、東京で買って以来まだ読めていないのですよね。評判も上々なようで、楽しみにしています。近いうちに読もう3


初詣にて、例年通りおみくじを引いたら『半凶』というよく分からないものが出まして、セカンドオピニオンと称して再度別のお寺で引き直したら吉でした。どちらを信用すればよいのやら。調べてみると、半凶は凶より悪いそうです。ということは、間をとって末小吉くらいになるということでしょうか。 うーん、今年も楽には生きていけなさそうです。


そんなわけで、今年もほそぼそと生きていきます。また一年、よろしくお願いいたします。


  1. お正月自体は暇なだけだろうと思ってあんまり楽しみではなかった気がしますが、お正月に向けて浮かれている人々を眺めたり、その雰囲気に交じることは好きでした。 ↩︎

  2. https://www.amazon.co.jp/dp/4152098805 ↩︎

  3. フリじゃないですよ。 ↩︎

Flickr Proメンバーになった

Flickrは今、あなたの助けを必要としている

つい先ほどのこと。 何の気もなしにたまたまFlickrの公式ブログを閲覧していたら、『助けを求めている』というタイトルが目に飛び込んできた。一体何事かと記事1を開くと、Flickrを買収した親会社であるSmugmugのCEOによるもので、曰く「死に体だったFlickrを一度は救い、サーバーをAWSに移し替えて高速化するなど改善をしてきたし、今後も改善を続ける予定だけれど、肝心なお金がどんどん減ってきている。サービスの継続のためにも有料メンバーになって支援して欲しい」というものだった。

普段、私はこういった動きには冷静な方で「顧客に受け入れられないサービスは役目を終えたということなのだから、終了した方がお互いのためなのでは」と思いがちなタイプだ。 だが、今回については全く逆で「これはいけない、何とかせねば」とそのままFlickr Pro、つまり有料メンバーになってしまった。

なぜか。 それは、FlickrがCreative Commonsのような自由文化作品を広げようとする取り組みに対して大きな貢献をしてきたからだ。 Flickrには、Creative Commonsでライセンスされた自由に利用可能で高品質な写真の作品が多く存在する。これが失われるということは、人類にとって大きな損失だ。有力な代替は今の所存在しない気がする。有名なPixabayやUnsplashなどは不自由なライセンスを適用しており問題外だし2、そもそも当該サービスではライセンスに選択の余地がない。Flickrの代替としては全くふさわしくない。

私は自由が好きだ。Free of chargeではなく、FreedomとしてのFreeが好きだ。だから当然自由文化作品の思想は好きだし、こうした取り組みに大きな貢献をしてきたFlickrを応援したい。 それに、高価なデジタル一眼も持っていることだし、これをもっと使っていかないと勿体無い。Flickr Proになれば、写真を撮影して共有しようとする自分の意思をさらに強固にできるだろうという思いもある3。 そういうわけで、Flickr Proになった。

Flickr Proにはなりたてで、どれほど便利になったかはまだ検証しきれていない。が、アップロード枚数が無制限なのは目に見える特典だと思う。

このブログを読んでいただいている人の中で、自由を愛する、あるいは愛とまではいかないにせよ好きではある、という方がもしいらっしゃれば、年間約 $60 $70、つまり約 7000 8000円、寄付だと思ってFlickrに投げてやっていただけないだろうか。残念ながらソフトウェアの自由という意味では貢献にならないし、寄付にしては少し高めかもしれないけれど、写真という文化の自由を守るという意味では大きな意義があると思うのだ。

2020/01/22 追記

つい数時間前、Flickrからメールがやってきた。曰く、さらに価格を上げるとのこと。理由は上記の通りで、代わりに2020年にはさらなるサービスの改善を予定しているらしい4。 私は応援したい……が、少し不安でもある。フォーラムで意見を募っているので、意見がある人はそちらに参加するといいかもしれない5


  1. The world’s most-beloved, money-losing business needs your help, flickr blog, 2019年12月20日閲覧 ↩︎

  2. https://help.unsplash.com/en/articles/2612317-can-i-use-unsplash-photos-as-part-of-a-product-to-sellhttps://help.unsplash.com/en/articles/2612332-what-do-you-mean-by-compiling-photos-to-replicate-a-similar-or-competing-service が参考になる。端的に言うと、画像を競合サービスに使ってはいけない、そのままの状態で(あるいは変更をほとんど加えずに)販売してはいけないなどの制約が付いている。最大の問題は『競合サービス』『変更をほとんど加えず』の曖昧さだろう。例えば、GitHubにソフトウェアと一緒に画像をアップロードするのは良いのか悪いのか判断できない(ユーザーが画像をダウンロードできるという意味では競合と言える)。NG例として画像をクロールしてサービスを複製する行為が挙げられているが、それ以外については言及がない。コミュニティの感情次第でこの規定が乱用される可能性もあるため、個人的にはお勧めできない。不自由なライセンスだ。素直にCC-BYにしておけば解決できる問題なんじゃないかと個人的には思う。 ↩︎

  3. 何を隠そう、私は形から入るのが大好きな人間だ。 ↩︎

  4. What’s ahead for 2020, flickr blog, 2020年01月22日閲覧 ↩︎

  5. https://www.flickr.com/help/forum/en-us/72157712280985623/ ↩︎

耳鳴りと謙虚な精神

奴は突然やってきた

昨日の夜のことです。大学からの帰路、駅のホームにやってきた電車へ乗ろうとしたとき、それはやってきました。

キーンという高い音。耳鳴りです。みなさんもよく経験があると思います。まさか耳鳴りを経験したことがないという方はいらっしゃらないでしょう。 私だってそうでした。ふむ、耳鳴りか、と気にも留めず、さっさと電車に乗り込みます。 しかし、数分後にはすっかりこの耳鳴りのことが頭から離れなくなってしまいました。そう、一向に収まる気配がないのです。乗り換えのためにホームに降りても、別の電車に乗っても、とうとう自宅の最寄り駅のホームに降りても、耳鳴りは収まりません。
はて、困りました。自宅に帰って、お風呂に入って、布団に入ってみます。治りません。これは一大事だぞと、明日病院に行かねばと決心してその日は寝ました。

そして今日。耳鳴りは落ち着いていたものの、プールの水が左耳に入ったままのような、そんな違和感を感じます。病院へ行って聴力検査を受けたところ、予想通りというか、我が左耳は高音を聴き取ることができないようになってしまっていたのでした。つまり人力ハイカット状態で、これが耳の違和感と耳鳴りの原因だったわけです。
医師の方から直接病名を伺うことはできなかった1のですが、これが所謂突発性難聴なのかもしれません。二十代前半の私がそんな病にかかるなんて日頃どれだけストレスを抱えているんだと言われそうですが、そうですよ、私は健常者と比べて現代社会に抱く怒りと悲しみが人一倍強いのですから2、さもありなんと納得すらしてしまいます。

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弊サイトの連絡先メールをProtonMailに移行しました

プライバシー意識の高まり

弊 clvs7.com のメールアドレスについて、今までは英国(サーバー所在地は米国LV)のとあるウェブホスティングサービスのメール機能に一任していた1のですが、本日からProtonMail管理に移行しました。
ただ、そのホスティングサービスを信用しなくなった、というわけではありません。該当のサービスは数年間利用していますし、サポートチケットを投げたら迅速に対応をしてくれる良いところです。自社でVPSサービスもやっていて技術力にも定評があります。管理者の方はフォーラムでもよくお見かけしますし、そういう点でむしろ信用しているのですが……曲がりなりにもセキュリティを噛じっている身として、安全なコミュニケーション手段は持っておくべきなんじゃないか2という思いがあり、今回の移行に至った次第です。

ProtonMailは安全性をウリにしています。PGPにもネイティブで対応しているので、もし私にセンシティブなメールを送りたい方がいらっしゃいましたら、是非 私のメール用PGP公開鍵 で暗号化したメールをお送りください。

とりあえず一年間様子をみて(年間契約をしているので)、今後使い続けるかどうかを判断します。といっても、よほど不満な点が生まれない限り使い続けるとは思いますが……。

余談

流石に値段がやや高め。にも関わらず、間違えてドル建てではなくユーロ建てで払ってしまったせいで1000円くらい損をしました。悲しい……。


  1. といってもメール専門ではないサービスですし、お世辞にもメール機能(特にウェブメール)は使いやすいと言えなかったので、そこから普段使っているメールアドレスに転送するようにしていました。 ↩︎

  2. 英米含め5eyesの影響がある国の企業だと、どうしてもプライバシーという点で(理論上は)立場が弱いと思うのです。 ↩︎

アスキーアート(AA)を崩さずに表示させる汎用ブックマークレット

アスキーアート(AA)の悲哀

最近、所謂やる夫スレにハマっています。何年前の流行だよとか突っ込まれそうですが、それでも面白いものは面白いのです。ちなみに今の個人的ベストは『サバイバルヤルオ』1。圧倒的な傑作です。

ただ、やる夫スレ(のアーカイブ)を閲覧するにあたって気をつける点があります。それは、ご存知の通り、環境によってはアスキーアート(AA)が崩れてしまうという点です。 といっても、パソコンで閲覧している場合はどうとでもなります。表示フォントが容易に変更できるためです。が、問題となってくるのはスマートフォンでの閲覧。スマートフォンのブラウザは一般にフォントを自由に変更できるようになっていません。また、専用アプリを導入するのも少々面倒くさいものです2。したがって、何もしないままではまともに閲覧できません。これは問題でしょう3

アーカイブを公開しているサイトによっては、Saitamaar等のウェブフォントを利用することでこの問題を解決しています。 が、全てのサイトがウェブフォントを採用しているわけではないため、ウェブフォント非採用のサイトのみで公開されている作品はスマートフォンでの表示がやはりズレズレになってしまいます。

ここで、問題の別の解決手法として、ブックマークレットが挙げられます。ブックマークレットを利用することで、ブラウザ側でウェブページに対し動的にスタイル、フォントを適用できるわけです。 しかし、既存の手法として Saitamaar.js を利用するものなどがあるようですが4、私の環境では上手く動作しませんでした。閲覧するサイトによるのかもしれませんが、いずれにせよ崩れるのは困ります。

そこで、大抵のサイトで動作するであろう汎用的なブックマークレットを作成してみました。このブックマークレットを利用することで、ウェブフォントを採用していないサイトのAAも正しく表示できるようになります。

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あるクマゼミへ、ごめんなさい

あるクマゼミへ、ごめんなさい

あるクマゼミに対して懺悔をしようと思う。

前置き。

幼い頃のトラウマがあって、私はセミの死骸を触ることができない1。 生きているセミは大丈夫なのだが、例えば彼らが掌の上で死んだふりをしようものなら、途端に彼らが恐ろしくなって放り出してしまうくらいには、セミの死骸が苦手である。

しかし、残念なことに、彼らの寿命は我々のそれよりもずっとずっと短い。最新の調査によれば、クマゼミに至っては最長で二週間程度しか生きられないようである2。そして、幼虫の彼らはせっせと地中から穴を掘って這い出てきては至るところで孵化をする。その結果何が起こるか。鳴き声で周りの音がかき消されるほどの多産と、地面に死骸が溢れかえるほどの多死である。

これが私にもたらす影響は極めて大きい。夏になると、私はいつも地面を向いて歩いている。なぜか。それは、セミの死骸がそこら中に転がっているからである。もしも目を下に向けていなかったのなら、たちまち彼ら(の亡骸)の一つや二つを炸裂させてしまうだろう。私は死骸に触れるという観点からもそういった事態は避けたかったし、何より、虫とは言えど同じ地球に生まれた生物の同胞として、その死骸の尊厳を毀損するのは避けたかったのである34

前置き終わり。

さて、恥を忍んで告白しよう。本日、私は意図せずともセミの尊厳を侵してしまった。 大学の敷地内を移動中――それは大きな木の近くの道路であった――落ち葉に紛れていたとあるクマゼミの死骸を、ついに踏んづけてしまったのである。

その時私は、研究室のサーバーの設定について考え事をしており5、明らかに注意が欠如していた。前方不注意である。セミのピークも去り、死骸数も目に見えて減ってきていたのが不注意をさらに増幅させていたのかもしれない。とにかく、足の裏に独特な抵抗を感じた時には、既に遅かった。 一瞬の後、今の感覚はもしやと慌てて後ろを振り返ると、オレンジ色の胸部と黒色の胴体が――自分の歩いた経路の上にぼとりと落ちていたのが見えた。

ああ、やってしまった。幸いなことに原型は留めているようだったが、私はとうとうセミを踏んでしまったのである。 踏んでからこの記事を書くまでにしばらく時間をおいたものの、足の裏には、当時の感覚がまざまざと残っている。まるで少し硬めの木の実を踏んだような、若干の軟らかさと何かが潰れかけたことを知らせる音のフィードバックが――脳裏にこびりついて離れない。これが私への Punishment なのだろうと思う。 申し訳ない気持ちと畏怖の念で一杯である。

思えば、私は昨日夢を見ていたのだ。ベッドに仰向けで寝ている私がふと横を見ると、壁際のゴミ箱のそばに転がるセミの死骸が、足を交差させたままこちらをジッと睨みつけてくる、という夢であった。 あまりに恐ろしくて、目が覚めた時には呼吸が乱れていたのを覚えている。あの夢は、もしかすると、今日このような事態が訪れることの暗示だったのやもしれぬ。ただ、夢に出てきたのはアブラゼミだった。今日踏んだのはクマゼミである。予知夢にしては精度に疑問が残る。では、あのアブラゼミは――ああ、ひょっとすると、私のトラウマとして生き続ける彼が警告しに来てくれたのかもしれない。もしそうだったとしたら、私は……。


改めて、あのクマゼミに謝罪を申し上げる。

踏んでしまったクマゼミへ。本当にごめんなさい。あなたが天に召されたその先で、幸せに後世を過ごしてくれることを願っています。

そして、夢で警告しに来てくれていたのが私のトラウマの中にいる彼だったのであれば、彼にも謝罪をしなければならない――君という存在がいながら、私はまた失敗した。申し訳ない。言葉もない。君が私を誹るなら、甘んじてそれを受け入れよう。そして改めて、私はセミを踏まないよう一層注意するようにしよう。君の最後の姿への贖罪には決してなり得ないが、ちっぽけな今の私にできるのはそれくらいしかないのだ。


  1. この話はいつか別の機会に。 ↩︎

  2. 『セミ成虫の寿命1週間は俗説! 笠岡高植松さんが生物系三学会最優秀賞』, 山陽新聞, 2019年6月発行(2019年8月30日 閲覧) ↩︎

  3. なので、自宅のベランダや敷地内にセミの死骸が転がっているのを見ると、棒状のものを駆使して近くの庭や空き地にその骸を持っていく。 ↩︎

  4. カッコいいことを言っているが、単純に死骸と同じ場所にいたくないという事情も多分にある。 ↩︎

  5. Sambaで構築したActive Directoryのドメインにクライアントを参加させることなく、SSSDのLDAP連携機能を用いてユーザー情報を同期させる(ADユーザーでログイン可能にする)設定を行っていた。また、NFSやSambaをコンテナで実行するためのSELinuxのポリシー作りや動作の検証も行っていた。ちなみにいろいろハマった。需要は少なそうだが、暇があれば別途技術記事として書こうと思う。 ↩︎