ギブアンドテイク

ギブアンドテイク


今日も夜の帳が降りた。

スポットライトは憂鬱と共に海の向こうに沈み、寂しく黄昏を見つめていた人々は、とぐろを巻く夜の闇へと静かに飲まれていく。 ……と、書いたところで、思わず笑ってしまう。

ほのかな不安を抱えながら起床して、昼間は努めて真面目に生きて、夕方にはほとほと疲れ切って。 そうして、夜はパジャマ姿でマグカップ片手に一日を回想して――ああ、日中はなんであんな無駄に真剣になっていたのだろう、なんて考えてクスクスと笑う。 それが夜だ。少なくとも、私にとっては。

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バイバイのノイズ

バイバイのノイズ


時間は十九時を回った。明かりのない車内は薄暗い。
明滅する黄色や赤の看板たち、車のヘッドライト、街灯、その他雑多な光源が、フロントガラスを巡っては消えてゆく。 合計で十時間以上走った運転もいよいよラストスパートで、残るは本旅行のヒロイン――助手席にいる彼女を家へと送り届けるだけだ。

車内のスピーカーからは、彼女のiPhoneからBluetooth経由で送信される、恋愛至上主義の音楽が次々に流れていく。 よくもまあ、こんなにも恋や愛、好きだの忘れられないだのと歌う曲を聴き続けられるな、と呆れ半分感心半分であった。

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